鯖缶に含まれるDHA(オメガ3脂肪酸)の摂取は卵子の質を向上させる?-妊活
DHA(オメガ3脂肪酸)はサバやイワシなどの青魚やゴマなどにに含まれている物質です。
ここでは、DHAの摂取が卵子の質を向上させたという論文を紹介いたします。
尚この記事は、
Prolonging the female reproductive lifespan and improving egg quality with dietary omega-3 fatty acids.
の論文を和訳しています。
DHAの摂取は高齢マウスの妊娠能力を維持する
DHAの摂取が妊娠能力にどのように影響するかを調べるため、DHAが豊富なエサを与えたマウスと、オメガ6脂肪酸(西洋の食事を模倣)が豊富なエサを与えたマウスでどのような違いがあるか調べました。
マウスは、高齢出産を模倣し、10~15カ月齢のマウスを使用しました。
(通常のマウスの性成熟は8週齢)
※図2より引用
この図は横軸が、マウスの個別データ。縦軸のバーがそれぞれのマウスが1回に産んだマウスの匹数を表しています。
白は産まれたのち死亡したマウスの匹数です。
Bがオメガ6脂肪酸が豊富なエサを与えたマウス
Cが通常のエサを与えたマウスです。
DHAが豊富なエサを与えたマウスのすべてが、高齢出産に成功しています。
一方、オメガ6脂肪酸が豊富なエサを与えたマウスからは子供が産まれていないことが分かります。
短期的なDHAの摂取も卵子の質を向上させる
DHAが豊富なエサを与えることが卵子の質を高齢になっても維持することが分かりました。
とはいえ、産まれたときからDHAを食べ続けることは実質不可能です。
そこで、本研究では、10カ月齢のマウスに3カ月間DHAを含むエサを与えたときの影響を確認しました。
※図3より引用
Aはそれぞれのエサに含まれる、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率を示しています。
DHAが最もオメガ3脂肪酸の比率が高くなっています。
DHAを与えたマウスは、成熟した卵母細胞(受精可能)の数が増加し(B)、卵胞の数も増加していることが分かりました(C)。
さらに、ミトコンドリアの分布を調べました。
母体が高齢になると、排卵された卵母細胞のミトコンドリアが凝集してしまうことが分かっています。
先行研究通り、他のエサを与えたマウスの卵母細胞のミトコンドリアは異常な凝集をしているにもかかわらず、DHAを与えることにより、ミトコンドリアの分布は通常状態となっていました(D)。
加えて、染色体についても調べました。
母体が高齢になると、染色体が不分離を起きやすくなります。
ヒトにおいても、35歳を過ぎると、染色体不分離が生じ、ダウン症が起きやすくなることが知られています。
先行研究通り、他のエサを与えたマウスの卵母細胞の染色体は不規則な形をしていました。
一方、DHAを与えたマウスの卵母細胞の染色体は正常な形態をしていました(E)。
以上のことから、高齢になった後に短期的にDHAを与えることによっても、受精可能な卵子の排卵数は増加し、卵子の質も向上したことが分かりました。
まとめ
今回の論文では、DHAを豊富に含むエサを与えた高齢マウスの妊娠能力および、高齢マウスに短期的にDHAを豊富に含むエサを与えたときの卵母細胞への影響を確認しました。
・短期的にDHAを含むエサを与えると、排卵数増加かつ卵子の質が向上していた。
ということが分かりました。
DHAと妊活の関係を調べた他の論文が知りたい方は、
まとめサイトである鯖缶で注目のDHA/EPA(オメガ3脂肪)は女性不妊を改善する?-妊活を参考にしてください。
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参考論文
著者;Nehra D et al
雑誌名;Aging cell (2012)
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