酸化ストレスを抑える?体内で水素を発生させるシリコン材料の開発。

酸化ストレスを抑える?体内で水素を発生させるシリコン材料の開発。ミトコンドリア

酸化ストレスを抑える?体内で水素を発生させるシリコン材料の開発。

これまで体内の酸化ストレスを抑えるために抗酸化物質や水素水などが検討されてきた。
しかし、シリコン材料を用いて、水素を体内で発生させるという方法は研究されていませんでした。
今回の研究では、水素を発生させるシリコン製剤を開発し、動物の酸化ストレスによる病気を抑えることに成功しました。

酸化ストレスとは?

酸化ストレスとは、ミトコンドリアによってつくられる活性酸素種によるストレスのことです。
体内ではエネルギーを作る際、酸化力の高い活性酸素種が発生します。
活性酸素種による酸化ストレスは、細胞を酸化させ、細胞に変異を蓄積させ、老化や病気へと繋がります。

これまで、体内の酸化ストレスを抑えるために、ビタミンやコエンザイムQ10を始めとした抗酸化物質や、水素水など様々な物質が検討されてきました。
しかしながら、抗酸化物質は効果が期待されては廃れてなどが繰り返されています。
また、水素水に関しては水素による酸化ストレスを抑える論文がいくつも発表されているものの、ヒトが摂取する際水素が大気中に逃げてしまうため、摂取が難しいなどの問題がありました。
(参考:生活習慣病に水素水は効果がある!?ミトコンドリアと共に考える
そこで今回着目されたのが、体内で水素を発生させるという発想です。

シリコン製剤とは?

シリコンとは原子番号14の元素であり、結晶のシリコンは太陽電池などの製造に用いられます。
今回使用するシリコン製剤は多結晶のシリコン粉末から製造されます。
シリコン製剤には酸性や中性の環境では水と反応せず、弱アルカリ性の環境でのみ、水と反応し水素を発生させるという性質を持っています。
つまり、シリコン製剤を摂取すると、胃酸が酸性環境のため、胃の中では反応せず、弱アルカリ性環境になる腸内において水と反応することで体内で大量の水素を発生することが出来ます。
発生した水素は腸内で吸収され、体内の各組織に輸送されることが出来ます。

このシリコン製剤は、大阪大学産業科学研究所に所属する小林光教授らの研究グループによって世界で初めて開発されました。

シリコン製剤の効果

ではシリコン製剤による水素発生の効果はどのようなものなのでしょうか。
今回は、シリコン製剤を含むサプリメントをペットに与えたところ、酸化ストレスによる病気のアトピー性皮膚炎・糖尿病が完治したという治療が観測されました。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の犬に対するシリコン製剤実験結果。
10年間使用していたステロイド剤を中止し、45日間シリコン製剤を投与したところ、かゆみがなくなった上、背中化部分の脱毛部位が増毛しました。

シリコン製剤の効果ーアトピー性皮膚炎の犬にシリコン製剤を45日間投与した結果。

糖尿病

血糖値が235mg/dLと正常値(75~145mg/dL)よりもかなり高く、食欲もなく、元気のない糖尿病のネコにシリコン製剤を摂取させました。
シリコン製剤を40日間摂取させたところ、血糖値は正常値の範囲内の125mg/dLまで低下し、食欲も糖尿病前まで戻ることが出来ました。

シリコン製剤の効果ー糖尿病のネコにシリコン製剤を給与した結果。

これらシリコン製剤を含むペット用サプリメントは、レナトスジャパン株式会社が10月25日より販売されています。

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シリコン製剤の今後の展望とまとめ

今回シリコン製剤を摂取させることで、動物の体内で水素を発生させ、酸化ストレスを抑えることに成功しました。
今回は動物にですが、酸化ストレスによる病気である、アトピー性皮膚炎と糖尿病をほとんど完治させることに成功しました。
今後はヒトの難治性疾患であるパーキンソン病や、多くの患者がいる慢性腎臓病・糖尿病の治療にも応用することが期待されます。

また、水素水において提唱されてきた老化防止や健康への影響は、水素水に含まれる水素の量が少ないため、水素水を販売しても効果がないと言われてきました。
今回のシリコン製剤は、体内において水素を発生させることが出来るため、水素水で机上の空論と言われてきた効能を実証することが出来るかもしれません。
今後のヒト向けのシリコン製剤サプリメントの発売が期待されます。

参考

体内で多量の水素が発生し、酸化ストレスを低減するシリコン製剤 ペット用サプリメントとして社会実装
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