妊活の夫婦必見!不妊症の人への体外受精(IVF)の有効性を調査した!
原因不明の不妊症に悩んでいる夫婦は大変多いと思います。
クリニックに通い始めの夫婦は、まずタイミング法という性行為のタイミングを医師に指導してもらう治療が行われます。
効果が得られない夫婦はその後、人工授精や体外受精など、保険適用外の治療を提案されます。
しかし、値段が高くなる保険適用外の治療でどれくらいの効果が得られるのかはわかりづらいです(せっかくならどれくらい効果があるのか知りたいところですよね)。
2019年6月にHuman Reproductionという大変権威のある雑誌から、その疑問に答える論文が発表されました。
まず始めに体外受精(IVF)とは?
論文を紹介する前に、体外受精(IVF)についての基本的な説明をします。
IVFはIn Vitro Fertilizationの略語です。
In Vitroは体外を示すラテン語で、生体内(in vivo)ではなく、シャーレ上で受精(Fertilization)させるということを意味します。
体外受精の方法
1、女性にホルモン剤を注射し、過排卵を誘発する。
2、卵子を採取する際、精子も採取する。
3、シャーレの中で、卵子に精子を振りかけて受精をさせる。
4、数日間培養し、胚が4細胞期以降になったら子宮へ移植をする(ET:胚移植)。
(5、子宮に移植を行われなかった胚は、着床しなかったときのために備えて凍結保存しておく。)
日本国内での体外受精による妊娠率は22.6%と言われています。
(日本産婦人科学会、ARTデータブック)
体外受精(IVF)はどれくらい効果的なのか
イギリスにおける論文で、イギリス、オランダ、スコットランドの合計46771組の夫婦を対象に、IVFとExpectant management(性交のアドバイス、タイミング法と同義)で妊娠率に違いがあるのかを調べました。
夫婦における女性の年齢の比率は上記のようになりました。
英国圏も体外受精の人の方が平均年齢が向上していることが分かります。
2年間不妊治療を行った夫婦の内、その後体外受精に切り替えた場合と、そのままタイミング法を行った場合で、妊娠率に差はあるのかを調べました。
34歳を境目に体外受精による妊娠率は減少するものの、女性が40歳未満の場合、体外受精による妊娠率は効果的なものとなりました。
体外受精による妊娠率の平均は47.9%、タイミング法では26.1%で、21.8%妊娠率が上昇しています。
しかしながら、女性の年齢が40歳を超えた場合、10%しか妊娠する確率は上昇していませんでした。
そのため、40歳を超えた場合、体外受精はあまり効果的ではなくなってしまいます。
また35歳の女性を対象に、受精をそもそもしない期間と、体外受精による妊娠率との関係を調べました。
このように、受精をしない期間が長ければ長いほど(不妊期間が長ければ長いほど)、効果的な結果をもたらすことが分かります。
2人目を産みたい夫婦へ
この論文では1人は妊娠し、子供を授かることが出来たが、2人目が産めないために不妊治療を行っている人も対象に調査を行っています。
Primary subfertile couple:1人目を授かりたい夫婦
Secondary subfertile couple:2人目を授かりたい夫婦
1-year chance of conception after IVF:体外受精による1年間での妊娠率
1-year chance of conception after expectant management:タイミング法による1年間での妊娠率
どちらの夫婦でも体外受精での妊娠率は向上しています。
しかし、1人目を授かったことのある夫婦では、タイミング法による妊娠率が26.7%とかなり高いため、女性の年齢に関係なく、体外受精はあまりお勧めしないとしています。
まとめ―結局体外受精の有効性は?
以上から40歳未満の女性に対しての体外受精はかなり有効性のある治療といえるでしょう。
今回の論文では、不妊症の原因が分からない夫婦を対象としています。
そのため、子供を授かりたいけど原因が分からない夫婦は、体外受精の有効性を鑑みて治療を検討してはいかがでしょうか。
40歳以上の女性や、一度子供を産んだことのある夫婦は、体外受精による有効性は高くありませんでした。
体外受精にかかる費用はかなり高額なものとなるため(約50万円)、体外受精を行わないことをお勧めします。
今回の論文は、多くの夫婦を対象とした大規模な調査です。
原因不明の不妊に悩んでいる夫婦が、体外受精の有効性を証拠に基づいた情報を知るために、利用してほしいと考えます。
体外受精についての口コミ等ございましたら、コメントの方よろしくお願い致します。
参考論文
著者;van Eekelen R et al
雑誌名;Human Reproduction(2019年6月23日出版)
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