排卵誘発の仕組みとは?多くの卵子を取るための技術を説明ー不妊治療

排卵誘発の仕組みとは?多くの卵子を取るための技術を説明ー不妊治療不妊治療

排卵誘発の仕組みとは?多くの卵子を取るための技術を説明ー不妊治療

排卵誘発は、多くの卵子を取るために利用されている不妊治療技術の1つです。
排卵誘発を行ったことのある方も少なくないでしょう。

しかし排卵誘発とはどのような仕組みなのでしょうか?
普通であれば1度の生理周期で1つの卵子しか採卵することは出来ません。

ここでは、排卵誘発とは?排卵誘発を検討しているといった方向けに、排卵誘発で1度の生理周期で複数の卵子を採取できる理由について説明します。

排卵の仕組み

まずは排卵のメカニズムについて説明します(※以下、分かりやすいように説明するため、卵原細胞、一次卵母細胞、二次卵母細胞などはすべて卵子として説明をします)。
排卵においては、卵子の周りを囲む卵胞が、卵巣内で形成され発育する必要があります。

1度の生理周期において、約1000個の卵子が卵胞に囲まれ、それぞれの発育が開始されます。
卵胞は、発育していくに従い、サイズが増大していきます。

その間に、約1000個の卵胞のほとんどは淘汰されてしまいます。わずかに残った卵胞が、LHサージと呼ばれるLHホルモンの増加に伴い、卵胞が破裂し、卵巣から卵子が放出されます。

卵胞の形成

卵胞がサイズを増大させるにはFSHと呼ばれるホルモンが重要となります。
卵胞の淘汰は3段階の選抜によって引き起こされます。

第一選抜では、FSHサージと呼ばれるFSHの急激な増加が生じ、卵胞の発育が誘導されます。
この時FSHに反応できなかった卵胞はこの時淘汰されます(約24%)。

第二選抜では、卵胞の中でも発育段階の早い卵胞が優勢卵胞として成長します。
優勢卵胞はFSHの抑えるインヒビンを産生します。
インヒビンは下垂体へと送られ、FSHの濃度が減少します。
FSHの濃度が減少してしまうと、卵胞は発育することが出来ません。
発育段階の早い優勢卵胞は、その他の卵胞と比べてFSHへの感受性が高いため、FSHの濃度が減少しても、発育を続けることが出来ます。一方その他の卵胞は成長することが出来ないため、淘汰されます(ほとんど)。

最終選抜では、第二選抜で残った卵胞が最大卵胞として、成長を続けます。それ以外の小さい卵胞は、発育を休止し、淘汰されます。
最大卵胞はエストラジオールの増加を引き起こし、エストラジオールの増加はLHサージを引き起こし、排卵が生じます。

排卵誘起ではFSHを補う

排卵を誘起する際、第二選抜で濃度が減少するFSHを補うことが出来ます。
FSHを補うと、本来淘汰されるはずの卵胞も発育を続けることが出来ます。
すると、本来1つしか排卵することのできない成熟卵子を、複数得ることが出来るのです。

FSHを補うのに利用される薬

FSHを補うために利用される薬はいくつかあります。

クロミフェンおよびシクロフェニル

一つ目はクロミフェンおよびシクロフェニルです。
これはFSHおよびLHの分泌を促進できます。
インヒビンによって抑制されるはずのFSHの分泌を促進することで、FHSの濃度減少を抑制できます。
クロミフェンおよびシクロフェニルは、基本的には内服薬のため、通院回数が少なくて済みます

ゴナドトロピン製剤

二つ目はゴナドトロピン製剤です。
これはFSHそのものです(少し語弊がありますが)。
FSHを直接体内に注入することで、FSHの濃度が高い状態で維持されます。
これにより複数の卵胞が成長を続けることができます。
ゴナドトロピン製剤は注射による投与となります。
クロミフェンなどと違い、直接FSHを体内に取り込むことが出来るので、卵胞発育への効果は大きいものの、幾つかの副作用が生じてしまいます。
副作用としては、複数の卵子が発育を続けることによる多発排卵による多胎妊娠の増加、そして卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の増加などが挙げられます。
卵巣過剰刺激症候群は卵巣が過剰に刺激を受けることで腹痛、お腹が張る、吐き気がする、などの症状が現れることを指します。

複数回の排卵誘起による危険性については医者は教えてくれない?排卵誘起の危険性ー不妊治療を参考にしてください。

まとめ

以上、排卵誘発によって複数の卵子を採取できる理由について説明しました。 排卵誘発は、複数の卵子を採取することのできる画期的な技術です。

しかし、年齢と共に体内の卵胞の数は減少していくため、排卵誘発を使用しても採卵できる数が少ない方もいらっしゃいます。

妊活は行おうと思ったタイミングで行うのが、一番です。
気になった方は、不妊病院への相談を行ってみましょう。

参考論文等

スキッロ動物生殖生理学

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