妊活中のコーヒーの摂取は人工授精の成功率を上げる
よく妊活を始めると、カフェインは妊娠率をさげるから、コーヒーを飲むべきじゃないと言われます。
しかし、2019年にオーフス大学が発表した論文によると、1日1~5杯のコーヒーを飲む女性は、コーヒーを飲まない女性に比べて、人工授精による妊娠・出産率が1.5倍高くなるという衝撃的な論文が報告されました。
この記事では実際の論文である「Impact of female daily coffee consumption on successful fertility treatment: a Danish cohort study」を和訳解説させていただきます。
実験方法
1708人の不妊治療中の女性を対象に1511周期の人工授精及び、2870周期のIVF/ICSIを行った。
コーヒーを1~5杯飲む女性と、1杯も飲まない女性とに分け、妊娠率・出産率を評価した。
実験結果
人工授精
不妊治療中の女性437人のうち、コーヒーを飲まない女性は42.2%、1日1~5杯のコーヒーを飲む女性は57.8%だった。
結果として、コーヒーを飲まない女性と比べてコーヒーを飲む女性に対する人工授精は、
妊娠率・出産率が約1.5倍増加した。
体外受精/顕微授精
不妊治療流の女性1421人のうち、コーヒーを飲まない女性は44.5%、1日1~5杯のコーヒーを飲む女性は54.8%だった。
結果として、コーヒーを飲まない女性と比べてコーヒーを飲む女性に対する体外受精/顕微授精はは、
妊娠率・出産率の効果の違いは認められなかった。
出産率1.05倍 (0.89–1.24)
共に有意差なし
また、6杯以上のコーヒーを飲んだ女性も一部(0.8%)いたが、妊娠率・出産率ともに違いはなかった。
(しかし、データ数が少ないため結論付けるのは早計とのこと)
考察
ではなぜ、コーヒーを飲んだ女性では人工授精の成功率が増加したのでしょうか。
筆者たちは、卵母細胞のピックアップを改善したのではないかと検討しています。
また、過去の知見における、
①カフェインの摂取が、黄体から分泌されるプロゲステロンの上昇(妊娠維持に必要)
②カフェインが糖尿病のリスクを低下させる(肥満は不妊に繋がる)
ということから、コーヒーが人工授精の成功率増加につながったのではないかと考察しています。
まとめ
以上の結果から、1日1~5杯のコーヒーの摂取は人工授精の成功率を1.5倍増加するということが分かりました。
このことから、妊活中はコーヒーを飲むべきじゃないという考えは持たなくても良いのではないでしょうか?
(むしろ良い)
しかしながら、WHOではカフェインの摂取量を1日300mg以下と定義しています。
飲みすぎにだけは気を付けましょう。
参考論文
著者;Julie Lyngsø et al
雑誌名;Fertil Steril(2019年7月出版)
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