母体の肥満は女性不妊を引き起こし、胎児の発達異常を引き起こす

妊活

肥満は女性不妊を引き起こし、胎児の発達異常を引き起こす

不妊の要因の一つに肥満があります。
今回紹介する論文は、高脂肪食を摂取することにより肥満となったマウスの受精卵の発生率が悪化し、さらに発生後の胎児の神経異常を引き起こしたというものです。

尚この記事は
「High fat diet induced developmental defects in the mouse: oocyte meiotic aneuploidy and fetal growth retardation/brain defects」
の論文を解説しています。

実験方法

まず筆者たちは高脂肪食(High fat diet)という餌をマウスに摂取させ、肥満状態マウスを作製しました。

このマウス(HFDグループ)と通常の餌を与えたマウス(コントロールグループ)に対して、交配能力が可能なことを調べているオスと交配し、その後の影響を調べました。

肥満マウスは発生率が低下した

こちらは過排卵処置を行ったコントロールグループとHFDグループをオスと交配後、子宮灌流を行って回収した胚の画像です。
A(コントロールグループ)と比べて、B(HFDグループ)では卵割不全(黒矢印)や、フラグメンテーション(赤矢印)の胚が目立ちます。

実際発生率を確認したところ卵割率(C)、胚盤胞期胚までの発生率(D)ともに、HFDグループで低いことが分かります。
このことから、肥満マウスでは発生率が低下したことが分かります。

肥満マウスの卵母細胞

発生率が低下した原因を調べるために、肥満マウスの卵母細胞を調べました。

肥満マウス卵母細胞の染色体

まず染色体の構造を調べました。

すると、コントロールグループ(A)と比べて、HFDグループ(B)は紡錘体が異常な構造をしていました。

肥満マウス卵母細胞のミトコンドリア

次に、肥満マウスの卵母細胞のミトコンドリアの形態を、電子顕微鏡で観察しました。

コントロールグループ(B)と比べて、HFDグループ(A)はミトコンドリアの内部が空胞化していました(赤矢印)。

このように、肥満マウスの卵母細胞は紡錘体とミトコンドリアが異常な形態をしていることが分かりました。

肥満マウスの胎子は発生異常を引き起こした

続いて胎子への影響を確認しました。
高脂肪食を与えたマウス肥満マウスとコントロールグループの胎児の大きさ及び胎盤の大きさを計測しました。

コントロールグループと比べてHFDグループでは胎児及び胎盤の大きさが小さくなっていました(A,B)。

肥満マウスの胎子は脳に異常

加えて、HFDグループの胎子のうち40%に、脳の発達異常が見られました。
具体的には脳室(ventricles)の発達異常や小脳(cerebellum)における脳脊髄液を算出する脈絡叢(choroid plexus)の未発達などです。

さらに、20%のマウス胎子には水頭症という脳の障害がみられました。

一方コントロールグループでは脳の異常が見られた胎子は1匹も見られませんでした。

これらのことから、肥満マウスの胎子は脳の発達異常を引き起こす可能性があることが分かります。

まとめ

ここまで高脂肪食を与え肥満にしたメスマウスを用いて、母体の肥満が胚発生率及び胎子に与える影響を説明しました。
肥満マウスでは、

卵母細胞の紡錘体およびミトコンドリアの形態異常
ニ細胞期および胚盤胞期胚までの発生率低下
胎子の脳の発達異常の割合の増加

が生じることが分かりました。

妊活中の運動は控えたほうがいいと考えている方もいらっしゃるかと思いますが、これはデマです。
(詳しくはデマに気を付けて!妊活・不妊治療の嘘8選を参考ください)
むしろ気を付けるべきは運動不足による肥満です。

妊活を行っている方は、ぜひとも肥満には気をつけましょう

参考文献

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