サッカー選手の子供は女の子が多くなる?スポーツと性別の関係
基本的に子供の男女比は1対1になります。
しかしながら、ストレスの多い出来事により、性比が女性に偏ってしまうことが知られています。
今回紹介する論文は、スペインのコルドバ大学におけるサッカー選手の子供の性比を調べたものとなります
「Birth sex ratio in the offspring of professional male soccer players: influence of exercise training load」
の論文を解説しています。
実験方法
チリの1部リーグに所属する75人の選手を対象にトレーニング量とトレーニング強度を以下のように設定しました。
Low:週に4回未満のトレーニング
Moderate:週に6~8回のトレーニング
High;週に8回以上のトレーニング
トレーニング強度はボルグスケールと呼ばれる、運動のきつさを測定する指標で10段階で表されます(PE)。
Low:PE6未満
Moderate:PE6~8
High:PE8以上
なお、サッカー選手の妻はアスリートではなく、スポーツトレーニングは行っていません。
結果
産まれた子供の数は122人となり、男子52人(42.6%)、女子70人(57.4%)となりました。
トレーニング量、トレーニング強度をもとに、解析した結果が以下になります。
図トレーニング量と子供の性比
図トレーニング強度と子供の性比
トレーニング量が多くなると、女の子が生まれる確率は高くなりました。
(トレーニングHighの産まれた子供の割合は、男子は52人中7人(13.5%)で、女子は70人中36人(51.4%)
トレーニング強度が高くなると、女の子が生まれる確率は高くなりました。
(トレーニングHighの産まれた子供の割合は、男子は52人中15人(28.8%)で、女子は70人中45人(64.3%)
最後に、トレーニング量とトレーニング強度に関しても比較を行いました。
トレーニング量が多く、トレーニング強度も高い練習を行った選手の子供(High-load)と、トレーニング量が少なくトレーニング強度も低い練習を行った選手の子供の比較を行いました。
図トレーニング量×トレーニング強度と子供の性比
図に示されている通り、量も多くきつい練習を行った選手の子供は30人産まれ、量は少なく軽い練習を行った選手の子供は23人産まれました。
軽い練習を行った選手の子供は男子11人(48%)、女子12人(52%)だったのに対し、きつい練習を行った選手の子供は男子6人(20%)、女子24人(80%)となりました。
以上のことより、トレーニング量が増え、トレーニングの負荷がきつくなっていくと、女子が産まれやすいということが分かりました。
まとめ
今回はチリのサッカー選手を対象に練習量が、子供の性別に対する影響を調べました。
結果として、練習量が増え、練習もきつくなっていくと、子供の性別は女子へとシフトしていくことが分かりました。
精子は、ストレスに対して損傷してしまうのですが、X染色体(女の子が生まれる)よりもY染色体(男の子が生まれる)をもつ精子のほうが傷つきやすいと言われています。
そのため、高負荷なトレーニングにより、Y染色体をもつ精子が減少し、女の子が産まれやすくなったのではないかと推察されていました。
参考文献
著者;D Vaamonde et al
雑誌名;Human Reproduction (2020)
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