コエンザイムQ10の摂取は精子機能を向上し、男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活

コエンザイムQ10の摂取は精子機能を向上し、男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活コエンザイムQ10

コエンザイムQ10の摂取は精子機能を向上し、男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活

不妊の約半分は男性不妊に影響があります。

精子に対する酸化ストレスの影響は男性不妊の原因の30~80%とも言われており、精子に対する抗酸化物質の影響が近年調べられています。
そのなかでも、エネルギー合成に必要であり、抗酸化物質としても働く
コエンザイムQ10が注目されています。

今回紹介する論文は、男性不妊患者の内、コエンザイムQ10の経口摂取を行ったグループとプラセボグループを対象に、メタ解析を行った結果を示しています。

尚この記事は
「Coenzyme Q10 and male infertility: a meta-analysis」
の論文を解説しています。

実験方法

データベース上に載っている男性不妊患者の内、
コエンザイムQ10の経口摂取を行った149人のグループと、
プラセボ(コエンザイムQ10の成分が何も入っていない薬を服用)グループ147人を対象にメタ解析を行いました。
また、コエンザイムQ10の摂取は200~300 mg/日を12週から26週続けてもらっています。

解析対象は、コエンザイムQ10の経口摂取による精子の運動性や、受精率に対する影響です。

メタ解析とは、
「過去に行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説」
のことです。
つまり、過去に複数行われた実験結果をまとめて解析しているため、データ数が増え、信頼性のある結果を得ることができるのです。

コエンザイムQ10摂取は精子の濃度を増加する

まず、コエンザイムQ10の摂取により、精液に対してどのような影響があるか調べました。

すると、コエンザイムQ10の摂取グループはプラセボグループに比べて、
精液に含まれるコエンザイムQ10の濃度が増加しました
(RR 49.55, 95 % CI 46.44 to 52.66, I2 = 17 %)。

コエンザイムQ10が精液に含まれることが分かったため、精液に含まれる精子に対してポジティブな効果がある可能性があります。
コエンザイムQ10の摂取により、精子の濃度の増加が生じれば、少なくとも造精機能に対してはポジティブな効果があることが分かります。

すると、コエンザイムQ10の摂取グループはプラセボグループに比べて、精子の濃度が増加しました

コエンザイムQ10摂取により、精子の濃度が増加
(※より引用 RR 5.33, 95 % CI 4.18 to 6.47)
しかし、効果の一貫性はあまりありませんでした(I2 = 58%)

コエンザイムQ10摂取は精子の運動性を向上させる

コエンザイムQ10の摂取が精子の濃度を増加させることが分かったため、次に、精子の運動性に対して調べました。

精子の運動性は、自然交配だけでなく、人工授精および体外受精に対してダイレクトな影響を及ぼします。
精子の運動性が向上すれば、精子が卵子に到達する可能性が著しく向上するため、受精率も向上するはずです。

コエンザイムQ10の摂取は、精子の濃度だけでなく、精子の運動性も向上しました。

コエンザイムQ10摂取により、精子の運動性が向上
(※より引用 RR 4.50, 95 % CI 3.92 to 5.08, I2 = 0 %)

以上のことから、コエンザイムQ10の摂取は精子の運動性も向上させることが分かりました。

コエンザイムQ10の摂取は妊娠率を向上させない

しかしながら、コエンザイムQ10を摂取しても妊娠率に対しては有為な向上は見られませんでした。

コエンザイムQ10摂取によって妊娠率は変化しない
(※より引用 コエンザイムQ10摂取グループ(6/28)に対して、プラセボグループは(3/27)だった。)

まとめ

今回の結果から、コエンザイムQ10の摂取は
精子の濃度を向上させ、精子の運動性を改善することが分かりました。

今回の結果は、メタ解析と呼ばれる複数の実験結果のまとめであることからも、信頼性は高いと思われます。

しかしながら、妊娠率を向上させることはありませんでした。

ですが、早とちりして考えてはいけないのが、今回は妊娠率しか見ておらず、受精率や発生率に対する影響は見ていません。
加えて、自然交配での妊娠率が向上しなかっただけで、人工授精や体外受精では結果が変わる可能性があります。
(精子濃度の向上や精子の運動性の改善は、人工授精や体外受精の受精率発生率を向上させることが分かっています。
またコエンザイムQ10の摂取はICSIの受精率を向上させるという報告もあります。)

他の論文などに興味がある方は、まとめサイトであるコエンザイムQ10は男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活を参考にしてみてください。

また、コエンザイムQ10はサプリメントからも摂取可能です。
コエンザイムQ10配合葉酸サプリである、マカナについての詳しい解説は
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参考論文

※論文タイトル;Coenzyme Q10 and male infertility: a meta-analysis
著者;Rafael Lafuente et al
雑誌名;J Assist Reprod Genet. (2013)

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