コエンザイムQ10の摂取が男性不妊を改善した?-ミトコンドリア妊活
精子の運動エネルギーはミトコンドリアのみから供給されます。
そのため、エネルギー合成に必要であり、抗酸化物質としても働く
コエンザイムQ10が注目されています。
今回紹介する論文は、イスラエルの不妊治療専門病院に保管されている38人の男性の精子を対象に、コエンザイムQ10の精子に対する影響を確認しました。
尚この記事は
「The effect of coenzyme Q10 on sperm motility and function」
の論文を解説しています。
実験方法
培地にコエンザイムQ10を添加する
イスラエルの不妊治療病院である、Hadassah Medical Center(ハダサ医院)に保管されている38人の患者の精子の運動性を評価しました。
すると、16人の患者の精液は、正常な運動性を示し(平均運動性47.5%)、22人の患者の精液は精子無力症でした(平均運動性19.1%)。
ちなみに、38人の患者の精液は、精子濃度および精子の形態に関しては正常でした。
そこで、38人の患者の精液に対して培地にコエンザイムQ10を加えることにより、体外受精および顕微授精への影響を評価しました。
コエンザイムQ10の経口摂取
同じ病院における、顕微授精の受精率の低い17人の患者を対象に、
コエンザイムQ10を1日に60 mg摂取してもらい(平均約103日)、受精率への影響などを確認しました。
コエンザイムQ10添加により、体外受精の受精率増加
HAM培地、1%DMSOを含むHAM培地、コエンザイムQ10を含むHAM培地の3区を設け、精子を24時間培養しました。
すると、通常精子では変化がなかったものの、精子無力症の男性の精子の運動率は
19.1 +/- 9.3%から35.7 +/- 19.5%へと向上しました(p<0.05)。
コエンザイムQ10を経口摂取
次にICSIによる受精率の低い男性を対象に、1日に60 mgのコエンザイムQ10を摂取したときの精子の運動性や受精率を確認しました。
精子の運動性や形態に変化はなかったものの、コエンザイムQ10を摂取すると、ICSIによる受精率の上昇が見られました(10.3 +/- 10.5%から26.3 +/- 22.8%、p<0.05)。
以上のことから、コエンザイムQ10摂取により、ICSIの受精率が低い男性も、受精率が向上することが分かりました。
まとめ
今回の論文では、コエンザイムQ10による精子への影響を確認しました。
結果として、
コエンザイムQ10摂取により、ICSIの受精率向上
ということが分かりました。
この論文はヒトを対象にしていたため、
培地にコエンザイムQ10を添加した際の、体外受精への影響は見ることができていません。
また、コエンザイムQ10摂取により、体外受精の受精率が向上したのかどうか
という点に関しては気になるところでした。
とはいえいずれにせよ、コエンザイムQ10の経口摂取により、ICSIの受精率が向上したというのは、とても興味深い結果なのではないかと思います。
他の論文などに興味がある方は、
まとめサイトであるコエンザイムQ10は男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活を参考にしてみてください。
参考論文
著者;Lewin A et al
コエンザイムQ10はサプリメントからも摂取可能です。
コエンザイムQ10配合葉酸サプリである、マカナについての詳しい解説は
妊活サプリmakana -マカナ-の効果について、成分から検討したを参考してみてください。
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