不妊カップル必見!ミトコンドリア妊活を始めよう―男性編
昨今妊活において、ミトコンドリア妊活という言葉が使われるようになりました。そもそもなぜミトコンドリアが妊活において大事なのか、男性側の視点から説明します。
男性不妊の主な原因
男性不妊の主な原因は、造精機能(精子を作ること)にあると言われています。造精機能障害は、
などが挙げられます。
精液中の精子数が少なかったり、精子の運動能力に異常があると、精子が卵子に到達できず、受精に繋がりません。そこで、妊娠には質の高い精子を作ることが必要になります。
精子形成と精子幹細胞
男性の場合、生涯に渡って精子を作り続けることが出来ます(80歳で子供を授かったというニュースを聞いたことがある人もいるかもしれません)。
しかしながら女性の場合、50歳を超えて妊娠したという人はほとんど聞きません。
男性と女性でなぜなぜこのような違いが起きるのでしょうか。
それは精子の形成方法が、女性の卵子形成と根本的に異なっているからです。
精子形成
精子は精巣の精細管で作られます。精細管では基底膜側から精細管内腔に向けて、精原細胞(精祖細胞)、精母細胞、円形精子細胞、伸長精子細胞、精子、の順に分化が進んでいきます。
精細管内には様々な分化状態の精子が存在していて、分化状態のパターンは周期的に繰り返されます。
こうすることで絶えず精子を生産することができます(男性が毎日射精出来て、女性の排卵日が月に一日と異なっている理由はここにあります)。
精子幹細胞
精原細胞の一部には、精子幹細胞と呼ばれる無限に分裂する幹細胞が存在しています。
この細胞があるからこそ、男性は生涯に渡って精子を作り続けることが出来ます。
女性の場合生まれたときの原始卵胞の数は月経のたびに減っていきます。そのため、生涯で作ることのできる卵子の数は限られているのです。
(参考:卵子の質は向上しない?ミトコンドリア妊活―女性編)
老化により精子に異常?
歳を重ねても精子を作れる、とはいっても、年齢と共に精子の運動能力は減少するため妊娠能力は落ちていきます。
(参考:歳を取ったらなぜ不妊になる?メカニズムを説明)
この原因の一つがミトコンドリアになります。
精子の運動はすべて精子の中片部に蓄えられたミトコンドリアによるエネルギーによって生産されます。
つまり、質の高い(活発にエネルギーを作る)ミトコンドリアを持った精子を作ることが受精に繋がるのです。
実際にビタミンや葉酸といった抗酸化物質を摂取することで精子形成が改善されたという論文も出ています。
例えばコエンザイムQ10を経口摂取すると、精子機能が改善されたという論文が幾つか報告されています(※1,2)。
気になる方はコエンザイムQ10は男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活を参考にしてみてください。
また、最新の論文(2019/7/30)において、精子幹細胞が老化すると、ミトコンドリアの機能が低下し、精子形成に異常が生じることが分かっています。
ミトコンドリア妊活を心がけよう
精子形成にミトコンドリアが関係していたことが分かったため、どうすればミトコンドリアの機能を高められるのか説明します。
抗酸化物質を取り入れる
ビタミンや葉酸、アスタキサンチンなどの抗酸化物質は、ミトコンドリアによってつくられる活性酸素種の量を減らすことが出来ます。
活性酸素種の量を減らすことで、ミトコンドリアの機能低下を抑制することが出来ます。
運動をする
運動することで、体内のミトコンドリアの量を増やすことが出来ます。その際、有酸素運動と無酸素運動の繰り返しをすることがミトコンドリアの量を増やすことに繋がります。
ミトコンドリアは細胞内が飢餓状態(エネルギーが少ない状態)に増える機構が備わっています。
そこで、時々激しい運動を挟みながらじっくりと有酸素運動をするのが、最も効果的なミトコンドリアの増加方法です。
また、この方法はミトコンドリアを増やすため、基礎代謝の向上に繋がり、大幅なダイエット効果も期待できます。
禁煙をする
タバコの有害物質は体内で活性酸素種の発生を促進します。
活性酸素種が発生すると、ミトコンドリアDNAがダメージを負い、ミトコンドリアの機能が低下してしまいます。
また、タバコの有害物質は精子のDNAにもダメージを与えるという報告もあります。
です。
まとめ
ここでは男性の妊活におけるミトコンドリアの重要性とミトコンドリア妊活の方法を説明しました。
恐らく、妊活と言われて実践してきたことも多く載っていたと思います。
今、妊活にミトコンドリアが関係していることが科学的に分かってきたため、ミトコンドリアの重要性が議論されるようになりました。
この記事を参考にして、女性だけでなく男性も妊活に取り組み、子供を授かってほしいと考えます。
女性の方は卵子の質は向上しない?ミトコンドリア妊活―女性編がおすすめです。
参考論文等
著者;Lewin A et al
雑誌名;Mol Aspects Med (1997)
著者;Rafael Lafuente et al
雑誌名;J Assist Reprod Genet. (2013)
著者;Mito Kanatsu et al
雑誌名;PNAS (2019)
著者;瀬名英明・太田成男
新潮文庫(2007)
価格:737円 |