コエンザイムQ10の摂取は卵子の機能を向上させる-ミトコンドリア妊活

コエンザイムQ10の摂取は卵子の機能を向上させる-ミトコンドリア妊活コエンザイムQ10

コエンザイムQ10の摂取は卵子の機能を向上させる-ミトコンドリア妊活

年齢とともに卵子の機能は低下していきます。
その原因の一つとして、卵子内におけるミトコンドリアの機能が低下し、ミトコンドリアの産生するATPが減少することが示されています。

そこでこの研究では、マウスを対象にして、コエンザイムQ10の添加が卵母細胞にどのような影響を及ぼすのかを調べました。

尚この記事は
「Coenzyme Q10 restores oocyte mitochondrial function and fertility during reproductive aging」
の論文を解説しています。

コエンザイムQ10の摂取は排卵卵子の数が増加した

まず、コエンザイムQ10の添加が卵巣に対してどのような影響を引き起こすのかを調べました。

Aは卵胞の数です。卵胞の数が多ければ多いほど、排卵可能な卵子の数が卵巣内に含まれていることを示します。
若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)では卵巣における卵胞の数は減少しています。しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)では卵胞の数が増加しています。
右の写真を見れば、一目瞭然、コエンザイムQ10を添加すると卵巣内における卵胞の数が多いことが分かります。
左のBは排卵された卵子の数です。若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)では排卵卵子の数は減少しています。しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)では排卵した卵子の数が増加しています。

しかしながら、卵巣における卵胞数や排卵卵子数が増加したとはいえ、その卵子の質が低ければ意味はありません。
そこで、繁殖試験を行うことで、排卵された卵子の質も評価を行いました。
右のCは生まれた仔マウスの数を示しています。マウスは多胎であるため、産まれた仔マウスの数を数えることで、正常に発生する割合を調べることが出来ます。若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)では個体数が減少しています。しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)では生まれた仔マウスの数が増加しています。

このことからコエンザイムQ10を添加すると、卵母細胞の数が増加するだけでなく、発生能力の高い卵母細胞の数が増加することが分かります。

コエンザイムQ10の摂取はミトコンドリア機能を増加した

ミトコンドリアは、酸素を利用してエネルギー(ATP)を産生します。
減数分裂中、および胚発生中に多量のATPが必要となります。
そのため、ミトコンドリアの機能障害は、卵母細胞の機能低下に直結するともいわれています。

そこで、コエンザイムQ10の添加によるミトコンドリア機能への影響を観察しました。
コエンザイムQ10のATPおよび酸素消費量への影響
Bは卵母細胞におけるATP量を示しています。
若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)ではATPの量は減少しています。
しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)ではATPの量は増加しています。

ミトコンドリアは酸素を利用してATPを産生するため、酸素消費量を計測することで、ミトコンドリアの機能を計測することもできます。
若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)では酸素消費量は減少しています。
しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)では酸素消費量は増加しています。

最後にミトコンドリアの膜電位を計測しました。
ミトコンドリアは内膜と外膜の電位差によって電子伝達系を機能させ、ATPを産生します。
そのため、ミトコンドリア膜電位の計測はそのまま、ミトコンドリアの機能を計測することになります。

コエンザイムQ10の膜電位への影響
若い個体(Young)に比べて、老化個体(Old)でミトコンドリア膜電位は減少しています。
しかしコエンザイムQ10を添加した個体(Old/Q)ではミトコンドリア膜電位は増加しています。

以上のことから、コエンザイムQ10の添加は、ミトコンドリアの機能を向上させ、卵母細胞内におけるATPを増加させることが分かりました。

コエンザイムQ10の摂取は染色体異常を減少させた

最後に染色体異常への影響を確認しました。
老化した卵子では染色体が異常形態を示したり染色体が分離できなくなる確率が増加します。
染色体不分離はダウン症候群などの先天性疾患を引き起こします。35歳を越えた女性にダウン症候群の子供が産まれる確率が増加することは広く知られています。

染色体不分離の影響は未だによくわかっていませんが、一つの候補として、卵母細胞内エネルギーの異常が、紡錘体異常や染色体不分離を引き起こすという報告があります。

そこで、コエンザイムQ10の添加による染色体異常への観察を行いました。

コエンザイムQ10の染色体および紡錘体への影響

緑色が紡錘体、赤色がDNAを染色しています。

正常(normal)では紡錘体の中央に染色体がきれいに並んでいる様子が観察されます。
一方異常(Abnormal)では紡錘体の形成が歪であり、染色体もバラバラに配置されています。

若い個体(Young)では染色体異常や紡錘体異常はあまり観察されなかったものの、老化個体(Old)では染色体や紡錘体の形成異常が増加していることが分かります。
しかし、コエンザイムQ10の添加により、染色体および紡錘体の形成異常は回復したことが分かります。

以上のことから、コエンザイムQ10の添加は卵母細胞における染色体および紡錘体の形成異常を減少させることが分かりました。

まとめとヒトへの応用

以上のことから、コエンザイムQ10の添加は、マウスにおいて、排卵卵子数を増加し、卵母細胞の機能を向上させる可能性が示されました。

では、ヒトに対してはどうなのでしょうか?

この図は、ヒトとマウスの卵母細胞内におけるコエンザイムQ10の合成酵素の量を表しています。
マウスもヒトもコエンザイムQ10の合成酵素の一つであるCoq6が減少していることが分かります。

そのため、コエンザイムQ10の添加はヒトにおいても卵母細胞の機能を向上させる可能性があります。

ただし、本実験はマウスに対して約3か月間皮下注射を行っています。
マウスにおける3か月間はヒトにおける約10年に相当します。

他のヒトの結果に関しましては、まとめサイトであるコエンザイムQ10は妊活に関係する?-ミトコンドリア妊活を参考してください。

また、コエンザイムQ10はサプリメントからも摂取可能です。
コエンザイムQ10配合葉酸サプリである、マカナについての詳しい解説は
妊活サプリmakana -マカナ-の効果について、成分から検討したを参考してみてください。

論文タイトル;Coenzyme Q10 restores oocyte mitochondrial function and fertility during reproductive aging
著者;Assaf Ben‐Meir et al
雑誌名;Aging Cell (2015)

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