コエンザイムQ10の摂取は精子の運動性を向上し、男性不妊を改善する-ミトコンドリア妊活
活性酸素種が男性不妊の主要な原因となることは、様々な研究結果から示されています。
そこで、精巣で活性化し、抗酸化物質としても働くコエンザイムQ10が近年着目されています。
今回紹介する論文では、男性不妊の患者を対象に、コエンザイムQ10を6か月間服用した際の、精子への影響を観察した。
なお、この論文は「Coenzyme Q10treatment in infertile men withidiopathic asthenozoospermia: a placebo-controlled,double-blind randomized tria」を和訳しています。
実験方法
2年以上の精子無力症の男性不妊患者60人(平均年齢32歳、範囲27-39歳)を対象に研究デザインが組まれました。
男性不妊患者の精子濃度:20×10^6/ mL、精子前方運動性:50%、正常な精子形態:30%でした。
男性不妊患者の内、30人には100 mgのコエンザイムQ10を1日に2回摂取を6カ月間行ってもらい(コエンザイムQ10グループ)、残りの30人はプラセボを摂取してもらいました(プラセボグループ)。
6カ月後、コエンザイムQ10グループが28人、プラセボグループが27人、研究を達成しました。
実験結果
コエンザイムQ10の測定結果
コエンザイムQ10グループの精漿におけるコエンザイムQ10の濃度は有意に増加しました(61.29±20.24 ng/mLから99.39±31.51 ng / mL)。
さらに、精子細胞に含まれるコエンザイムQ10の濃度も有意に増加しました
(2.44±0.97 ng / 10^6細胞から4.57±2.46 ng / 10^6細胞)。
また、還元型コエンザイムQ10であるQH2の濃度も測定しました。
コエンザイムQ10グループの精漿におけるQH2の濃度も有意に増加しました(31.54±10.05 ng / mLから51.93±16.44 ng / mL)。
また、精子細胞におけるQH2の濃度も有意に増加していました(0.95±0.46 ng / 10^6細胞から1.84±1.03 ng / 10^6細胞)。
以上のことから、コエンザイムQ10を摂取したグループは、
精漿および精子細胞にコエンザイムQ10が多く含まれることが分かりました。
精子の運動性への影響プラセボグループは実験前と実験後で精子の運動性は変化しませんでした。
一方、コエンザイムQ10グループは精子の運動性は有意に増加しました
(33.14%±7.12%から39.41%±6.80%)。
さらに、コエンザイムQ10グループの精子の前方運動性も有意に増加しました
(10.43%±3.52%から15.11%±7.34%)。
また、精子の速度をコンピューターを用いて計測すると、コエンザイムQ10グループで有意に増加していることが分かりました。
以上のことから、コエンザイムQ10を摂取すると、精子の運動性が有意に増加することが分かりました。
妊娠結果
実験期間中55人の内、9組の自然妊娠が観察されました。
9組の妊娠の内、6組がコエンザイムQ10グループで、3組がプラセボグループでした。
自然妊娠の結果に関しては、対照実験が行えたわけでは上、多くの干渉事案があるため、
コエンザイムQ10の直接の影響とは断言できません。
しかし、男性不妊患者のコエンザイムQ10の摂取グループにおいて28組中6組の妊娠が観察されたことは、大変興味深い結果ではないかと、論文では述べられていました。
まとめ
今回紹介した論文は、精子無力症の患者を対象に、コエンザイムQ10の摂取が精子の運動性に与える影響を、二重盲検比較試験によって評価しました。
結果として、コエンザイムQ10を摂取したグループでは、プラセボグループと異なり、
精子の運動性が有意に向上することが分かりました。
また、これは因果関係はまだ明らかではありませんが、コエンザイムQ10を摂取をすると、
2年間の男性不妊であった患者28組から6組の自然妊娠が観察されました。
今回の論文でも、コエンザイムQ10の摂取は6カ月間行っています。
すぐには結果が出ない可能性がありますので、時間をかけて妊活は行いましょう。
他の論文などに興味がある方は、
まとめサイトであるコエンザイムQ10は男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活を参考にしてみてください。
また、コエンザイムQ10はサプリメントからも摂取可能です。
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参考論文
著者;Giancarlo Balercia M.D. et al
雑誌名;Fertility and Sterility (2009)
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