コエンザイムQ10は男性不妊を改善する?-ミトコンドリア妊活
コエンザイムQ10はミトコンドリア内で働く補酵素です。
コエンザイムQ10は老化防止だけでなく、妊活にも関係があることが分かっています。
(参考:コエンザイムQ10は妊活に関係する?-ミトコンドリア妊活)
今回は、コエンザイムQ10が男性不妊を改善するという論文を紹介していきたいと思います。
男性不妊とは
ここでは男性不妊の中でも、造精機能の異常を取り上げます。
造精機能の異常によって生じるのは、乏精子症(精子の数が少ない)や精子無力症(精子の運動率が低い)、奇形精子症(奇形率の増加)などが挙げられます。
通常の性交や、人工授精では、精子の濃度や運動性がかなり重要なファクターとなるため、
この造精機能の異常を抑えることは、妊娠に繋がりやすくなるといえます。
ミトコンドリアがエネルギーを産生するため、精子の運動に関係するエネルギーはすべてミトコンドリア由来のものとなります。
ミトコンドリアはエネルギーを産生する際、ROSを生じます。
ROSにより酸化ストレスが高くなると、精子形成に異常が生じることが知られていることから、
抗酸化物質による男性不妊の改善が検討されています。
精巣においてコエンザイムQ10の濃度が高いことや、コエンザイムQ10がエネルギー産生に必要な補酵素でもあることから、男性不妊改善においてコエンザイムQ10が着目されています。
そこで、ここでは、ミトコンドリアで働くコエンザイムQ10により、男性不妊に対してどのような効果があるのか、論文を基に紹介していきたいと思います。
無精子症の男性で、顕微授精の妊娠率増加
培地にコエンザイムQ10を添加
コエンザイムQ10を添加した培地で培養を行うことで、精子無力症の男性の精子の運動率は
19.1 +/- 9.3%から35.7 +/- 19.5%へと有意に向上しました(※1)。
コエンザイムQ10を経口摂取
次にICSIによる受精率の低い男性を対象に、1日に60 mgのコエンザイムQ10を摂取したときの精子の運動性や受精率を確認しました。
すると、精子の運動性や生存率には変化がなかったものの、コエンザイムQ10を経口摂取すると、ICSIによる受精率が向上したことが分かりました(※1)。
コエンザイムQ10摂取によるメタ解析
不妊症の男性を対象に、コエンザイムQ10の摂取を行った論文を解析し、コエンザイムQ10が受精率や、精子の運動性に与える影響を評価しました。
すると、コエンザイムQ10を摂取すると、プラセボ(コエンザイムQ10の成分が何も入っていないくすりを服用)した人に比べて、精子の濃度が増加しました(※2)。
さらに、精子の濃度だけでなく、精子の運動性も向上しました(※2)。
しかしながら、コエンザイムQ10を摂取しても自然性交における受精率に対しては有意な向上は見られませんでした(※2)。
コエンザイムQ10経口摂取による評価
コエンザイムQ10の精漿における濃度が精子の運動性と相関があることが分かったことから、この論文では、コエンザイムQ10経口摂取による、精漿内のコエンザイムQ10の濃度と、精子の運動性に対しての評価を行いました。
コエンザイムQ10を1日に200-300 mg経口摂取すると、精漿のコエンザイムQ10濃度は向上しました(※3)。
更に、コエンザイムQ10摂取を半年間続けた結果、精子の運動性は33.14±7.12から39.41±6.80%と有意に向上しました(※3)。
まとめ
以上、男性不妊に対するコエンザイムQ10摂取の評価の論文を紹介いたしました。
論文によって意見は様々でしたが、少なくとも、コエンザイムQ10により精子の運動性が向上していることが分かります。
勿論コエンザイムQ10を摂取すると、男性不妊が必ず良くなるとは限りません。
しかしながら、コエンザイムQ10を摂取により、精子の運動性が向上したという論文が複数報告されていることからも、コエンザイムQ10摂取により、男性不妊が改善できる可能性が示唆されています。
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コエンザイムQ10摂取の結果は約半年間と、時間がかかります。
本格的に試すことを検討している方は、一度、不妊治療病院に相談することをお勧めいたします。
女性で、コエンザイムQ10について気になる方はコエンザイムQ10は妊活に関係する?-ミトコンドリア妊活を参考にしてください。
参考論文等
著者;Lewin A et al
雑誌名;Mol Aspects Med (1997)
日本語解説はこちら
著者;Rafael Lafuente et al
雑誌名;J Assist Reprod Genet. (2013)
日本語解説はこちら
著者;Giancarlo Balercia M.D. et al
雑誌名;Fertility and Sterility (2009)
日本語解説はこちら
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