不妊治療ってなんで保険適用されないの?費用と共に考える

不妊治療
2022年4月より不妊治療は保険適用化されました。
詳しくは2022年から大きく変わる?不妊治療の保険金適用及び助成金についての今後の流れを参考にしてください。

不妊治療って保険がかからないの?

国内で出生時に35歳以上の出産割合は増加しています。

このように、35歳以上の女性の出産の割合は倍増しています。35歳を過ぎると不妊症になる人が多いため、不妊治療を行う人は増加しています。
しかしながら、不妊治療では保険適用されるものと、されないものがあります。

不妊治療はお金がかかる

子供は欲しいけど、子供が出来ない。国内の7組に1組はそんな悩みを抱えています。しかし、不妊治療には高額なお金がかかります。

上の表からも分かるように、不妊治療では100~200万円かかる人が最も多く、不妊治療にかかった費用は平均で134万円という調査結果もあり、3人に2人は金銭面をネックに感じています。
なぜそれほど不妊治療にはお金がかかるのでしょうか。理由としては、元々費用が高額な治療であることに加えて、保険適用外の治療があることが原因ではないかと考えられます。

不妊治療で保険適用されるもの

排卵誘発剤などの薬物療法:数千円 卵胞の発育を促す
卵管の通過を促す卵管通気法や卵管形成術:片側で14万円両側だと28万円 卵管の通過障害を改善する。
精管機能障害に対する精管形成術:25万円 射精しても排出されない精管のつまりを改善する
タイミング法:数千円 排卵日を医師に推測してもらい、医師の指導の元、性行為を行う。

不妊治療で保険対象外のもの

人工授精:1~2万円  精子を人工的に子宮に注入する。男性の性交障害などに用いられる
体外受精:30万円~50万円 体外に取り出した卵子をシャーレの中で精子と受精させる方法。シャーレ上で成長させた後、子宮へと戻す。
顕微授精:体外受精の料金に加えて卵子一個当たり1~2万円 顕微鏡下で精子を卵子に注入して受精させる方法。卵子/精子の受精能力が下がっている場合に用いられる方法。
胚の凍結:1個当たり約2万円。体外受精や顕微授精で多くの受精卵が発生した場合に、胚を凍結する方法。着床しなかったときや、流産したときに、凍結した胚を新たに子宮へと戻すことが出来る。
卵子の凍結:25万円 別途卵子の保管料として1年間で卵子1個1万円費用が掛かる。 歳を重ねた場合や、卵子が多量に取れた場合に、流産しにくい卵子を体外で凍結保存しておく方法。

なぜ不妊治療の内、保険適用されないものが在るのか

この疑問は平成18年に衆議院議員野田聖子の不妊治療保険適用の答弁書の答えにより明示されています。
「我が国の医療保険制度においては、疾病等に対する有効性、安全性等が確立した治療を保険適用の対象としているところであり、不妊治療のうち、ホルモンの異常並びに子宮及び卵管の機能障害等の身体の異常に対する治療については、治療と疾病との関係が明らかであり、治療の有効性、安全性等が確立していることから、保険適用の対象としている。体外受精等のその他の不妊治療については、不妊の原因となる疾病の治療を目的としたものといえるかどうか、また、その成功率が必ずしも高くなく有効性が確立しているといえるかどうか等の点から、厚生労働省においては、現時点では保険適用の対象とすることは困難であると考えており、保険適用の対象とすることだけではなくその他の方策も含め引き続き検討しているところである。」

衆議院議員野田聖子君提出不妊治療の保険適用に関する質問に対する答弁書

つまり、人工授精や顕微授精などで確実に子供が出来るとは限らない方法には保険は適用されないということになります。

ちなみに海外では

日本と似た国民保険の仕組みを持っている愛の国フランスでは、不妊治療は疾病として認められています。そのため、42歳という制限付きではありますが、全額保険で支払われます。
また、ドイツにおいても回数の制限付きですが、体外受精や顕微授精の料金が半分保険で支払われ、15万円から25万円ほどで治療が受けられます。

日本でも少しずつ助成金制度が始まっている

国内でも特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に対する助成金制度が始まっています。医師から特定不妊治療以外では妊娠できないと判断された夫婦に対して、治療1回に対して15万円の給付金がされる特定治療支援事業が平成16年から始まっています。
収入が730万円を超えない夫婦が対象となります。
近年では男性の不妊治療も対象となっています。

各自治体が実施を行っているため、対象夫婦は積極的に利用しましょう。
また、自治体によっては一般不妊治療(人工授精や不妊検査)に対して助成金を補助される制度があるため併せて確認してみましょう。

不妊治療を対象とした民間保険も増えている

保険が適用されない特定不妊治療を受診したときに給付金を受け取れる民間保険も拡大しています。月5千円台で、1回の不妊治療に対して約2万5千円の給付金がもらえる制度です。助成金制度と合わせると、不妊治療にかかる費用の負担をかなり軽減できそうです。民間保険では年齢制限を設けているところが多いため、加入時はきちんと確認を行いましょう。

まとめ

国内では体外受精や顕微授精などの特定不妊治療は確実に子供が産まれる方法として定められていないため、保険適用がされません。しかしながら、助成金制度や民間保険を活用することで、負担の軽減を図ることもできるため、妊活を始める夫婦や、不妊で悩んでいる夫婦は積極的に利用していきましょう。

参考

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