ミトコンドリアを注入する?不妊治療技術「AUGMENT」とは!?

ミトコンドリアを注入する?不妊治療技術「AUGMENT」とは!?不妊治療

ミトコンドリアを注入する?新しい不妊治療技術「AUGMENT」とは!?

AUGMENT療法という言葉を聞いたことはあるでしょうか?不妊症のカップルの最後の希望とも言われているAUGMENT療法について説明します。

AUGMENT療法とは

AUGMENT療法とはAutologous Germline Mitochondrial Energy Transfer「自家生殖細胞ミトコンドリアエネルギー移動」の略語で、アメリカの不妊治療の会社であるOva Science(オバサイエンス)社が開発した新しい不妊治療技術になります。
歳を取ったらなぜ不妊になる?メカニズムを説明でも紹介した通り、高齢になるとミトコンドリアの質が低下してしまい、女性の妊娠能力は減少してしまいます。体外受精を行っても、高齢の場合10%ほどしか妊娠は出来ません。(参考:妊活の人必見!不妊症の人への体外受精(IVF)の有効性を調査した!

そこで、Ova Science社はヒトの卵巣から卵子の元となる卵子前駆細胞を取り出し、この細胞から抽出した質の高いミトコンドリアを、排卵した卵子に注入することで、受精率を向上させるという方法を開発しました。この不妊治療技術がAUGMENT療法になります。

卵子前駆細胞とは?

卵子前駆細胞とはOva Science社が見つけ出した細胞で、卵子に分化可能な幹細胞のことを指します。(卵子幹細胞と表現する場合も)
幹細胞とは、分化が可能で無限に増殖できる細胞のことです。
つまり、卵子前駆細胞とは、「卵子になることが出来る無限に増殖する細胞」のことです。
詳しい説明はこちら

男性の場合、精巣に精子幹細胞が存在しています。そのため、男性では歳をとっても無限に精子を作ることが出来るのです。
(参考:不妊カップル必見!ミトコンドリア妊活を始めよう―男性編

そこで、女性の卵巣にも幹細胞はないかと調べられました。
その結果として、卵子に分化できる幹細胞を卵巣から見つけ出すことに成功したのです。

ヒトの卵巣からの卵子幹細胞(卵子前駆細胞)の単離方法

このように卵巣細胞を取り出した後、生殖細胞で発現しているDDX4(Vasa)をマーカーにして、FACSと呼ばれる方法で体細胞と分けることで、卵子幹細胞(卵子前駆細胞)を見つけ出すことに成功しました。

ヒトの場合も卵巣1~3cm角を切り出し、そこから卵子前駆細胞を単離して、ミトコンドリアを抽出することに成功しています。

AUGMENT療法の金額は?

Ova Science社の金額しか調べることは出来ませんでしたが、大体2万ドル(200万円ほど)になるそうです。
顕微授精の価格が50~60万円ほどですので、3倍~4倍ほどの価格になるかと思います。

日本ではできるの?

大阪のHORACグランフロント大阪クリニック(ホーラック)という病院が行っているそうです。
実際国内でもAUGMEN療法によってお子様が産まれたという報道もあります。

アメリカでは法律の問題でAUGMENT療法を行うことが出来なくなっている州もあるらしいです。しかし、日本ではまだAUGMENT治療に対する規制はされていないので治療を行うことは可能です。

まとめと注意

ここまでAUGMENT療法の説明と、値段について記してきました。日本でも治療を行うことが出来るうえ、値段も顕微授精と比べると、天文学的な数字ではないことが分かります。(そうはいっても高いですが)
AUGMENT療法を試したい方は、大阪のHORACグランフロント大阪クリニックに行って、治療を検討してみてもよいでしょう。
(HORACグランフロント大阪クリニックの詳しい説明はこちら

ですが、AUGMENT療法は未だに科学的な裏付けがされていない治療法になります。具体的に言われていることは、(1)卵子前駆細胞の存在そのものが懐疑的なことと、(2)幹細胞のミトコンドリアを注入したことによる、妊娠の向上や受精率の向上、胚質の改善がされるという知見が少ないことになります。

とはいえ、子供が産まれていることも事実です。これからもAUGMENT療法についての最新の記事があれば紹介していきたいと思います。

追記
2019年にAUGMENT療法を行っても受精率、妊娠率は改善されず、発生率は減少するという報告がされました。
詳しくはこちら

参考論文等

論文タイトル;The quest for human ovarian stem cells
著者;Evelyn E Telfer & David F Albertini
雑誌名;Nature Medicine(2012)
論文タイトル;Oocyte formation by mitotically active germ cells purified from ovaries of reproductive-age women
著者;Yvonne A R White et al
雑誌名;Nature Medicine(2012)
卵巣内の「幹細胞」をめぐる現状(高井 泰)
HORACグランフロント大阪クリニック(ホーラック)
ホームページ;http://www.ivfhorac.com/
電話番号;06-6377-8824
住所;大阪府大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーB15F
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