精子は熱に弱い?男性妊活の基本
妊活を始めていく上で、男性が特に気をつけなければいけないのが、
熱対策です。
ここでは、男性が熱対策をしなければいけない理由から、
生活で生じる不妊の原因について説明していきます。
精子は熱に弱い
なぜ陰嚢(精巣)が体の外にあるかご存知でしょうか?
これは精子が熱に弱く、高温環境下に晒されると、すぐにダメになってしまうからです。
体温(37℃)環境でも精子は運動性が落ちてしまいます。
そのため、哺乳類は、胎児の時に、精巣が陰嚢内に下降して収まる
精巣下降
という現象が生じます。
この下降がうまくいかないと停留精巣と呼ばれる、陰嚢内に精巣が降りてこない現象になります。
精子が体温の熱に晒されてしまうため、停留精巣の患者の方は、精液所見に問題がある方が多く、不妊症になりやすいです。
サウナは危険
フィンランドの方を対象に、サウナ活動による精子所見を観察しました。
週2回のサウナ(80℃~90℃)を3か月間15分間行った際の影響を、
サウナ活動中と、サウナ活動終了後に分けて調べました。
すると、サウナ活動を行うと、精子数と精子の運動性に強い障害が生じることが分かりました。
具体的にはサウナ活動により、
精子量は59%減少、
運動性のある精子の割合も22%減少
してしまいました(※1)。
ただし、これらの高熱によるストレスはサウナ中断後に改善されることも報告されています。
膝上パソコンは危険
ラップトップ型パソコン(ノートパソコン)を膝の上において仕事をする方も多いでしょう。
しかし、ノートパソコンは熱を放出してしまうため、股間の温度が高くなってしまうことが危険視されています。
実際、ノートパソコンと股間の熱に関する研究も行われています。
21〜35歳(中央値24歳)の29人の健康な男性を対象として膝の上でノートパソコンを使用した場合の陰嚢の温度の変化を観察しました。
ノートパソコンを使わず、座り続けたグループでは陰嚢の温度は60分間で33.5℃から35.4℃まで上昇しました。
勿論、座り続けると、股間に熱がこもってしまうため、この結果は妥当といえます。
しかしながら膝上でノートパソコンを使用すると、
陰嚢の温度は使用時間とともに上昇し60分間で33.1℃から36.2℃まで上昇し、
ノートパソコン未使用グループと比較して有意に高い結果となりました(P<0.0001、※2)。
陰嚢の温度は1℃上昇すると、精子形成に著しい影響を及ぼすという報告もあるため、ノートパソコンの膝上利用は避けた方が良いでしょう。
ボクサーパンツは危険
男性で体にピッタリとするボクサーパンツを好む男性も多いでしょう。
しかし、身体にフィットするボクサーパンツでは陰嚢に熱がこもってしまいます。
そのため、ボクサーパンツでは不妊症になる確率が高くなることが分かっています。
例えば2000年から2017年にかけて不妊治療のパートナーの男性656人を対象に、
トランクスなどの下着を着用したグループ(海外での呼び名はボクサー型)と、
ブリーフやボクサーパンツなどフィットした下着を着用したグループに分けて
精子の機能を調べました。
フィットした下着を着用すると陰嚢の温度が上昇し、精子形成に異常が引き起こされました。
そして、フィットした下着を着用したグループは、
トランクスなどの下着を着用したグループに比べて、
精子濃度、精子数、運動精子の数が少ない結果となりました。
具体的にはトランクスなどの下着を着用したグループは
フィットした下着を着用したグループと比べて、
精子の数は17%増加、
精子の運動性は33%増加する
結果となりました(※3)。
妊活パンツという提案
近年になり、妊活パンツという考え方が浸透しつつあります。
例えば2021年にはメンズ向けの妊活パンツの開発を謳ったクラウドファンディングなども登場しています。
(ただし、妊活パンツとして検索して出てくるパンツ(おおた@男性不妊の作製したパンツ)は4000円ほどする非常に高い値段ですが、その効果の真偽は不明です。加えて、陰嚢部が開口しているため尿漏れの危険性が非常に高いので本当にお勧めできません)
この記事では、妊活をしたいがボクサーパンツを履きたいという男性のために、コビワンという妊活パンツを紹介したいと思います。
コビワンは蒸れ、陰嚢の温度上昇が解消された高級メンズパンツです。
コビワンはボクサーパンツに関わらず、
股間部分がメッシュ構造になっているため、陰嚢の熱を効率よく逃がしてくれます。
股間に熱がこもらないということで、妊活用パンツとして、購入される方がたくさんいらっしゃいます。
価格:3,300円 |
機能性や口コミなど気になる方は以下のサイトを参考にしてください。
妊活の男性必見!ボクサーパンツKOBI-ONE(コビワン)の口コミを紹介
まとめ
以上、精子が熱に弱い理由を説明しました。
また、サウナや膝上でのパソコンの使用、ボクサーパンツなど、股間の温度を高め、精子機能を減少させてしまう行為についても紹介させていただきました。
タイミング法、人工授精、体外受精のすべて(顕微授精は除く)で、
精子量や精子の運動性は受精率妊娠率に関係しています。
精子は卵子と比べて、毎日常に作られ続けています。
そのため、生活習慣を変えると約3ヶ月(70日)で、精子の質は回復します。
熱に着目し、日々の生活習慣を見直せば、自ずと妊娠に繋がるでしょう。
参考文献
著者;Andrea Garoll et al
雑誌名;Human reproduction (2013)
著者;Yefim Sheynkin et al
雑誌名;Human reproduction (2013)
著者;Lidia Mínguez-Alarcón et al
雑誌名;Human reproduction (2018)
日本語解説はこちら
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